絶句。
目的地を告げず、福井へ向かった。
「ふくいけん」という響きは、息子にとって「きょうりゅう」と聞こえるのかもしれない。
福井県に入り、サービスエリアに寄ると、
「おかあさん、どうして福井に来たの?もしかして、恐竜博物館?違うか、さすがに。」
と聞いたことないほど流暢に話しかけてきた。
福井県立恐竜博物館。
息子にとっては、「行けるはずがない」と思ってしまうほど、夢のまた夢の場所なのだ。
行けると分かった時の、絶句した息子の顔は、言葉にできない。
一生の宝物だ。
どうしてもこの夏、連れてきてあげたかった場所。
チケットが間違いなく取れているか、この1ヶ月、何度確認しただろう。
半日かけて、ご飯を食べることも忘れ、汗だくで見て回った。
そのキラキラした横顔は、今思い出すだけでも、目頭が熱くなる。
こんなにも好きなものがある、という事実が、私は嬉しくて仕方がないのだ。
感動している。
息子を見失わないように、必死で追いかけ回し、ゆっくり恐竜を見上げられなかったことも、かけがえのない思い出だ。
大大大満足だった。
今年新設されたという、福井県立大学恐竜学部のパンフレットを手にとったら、恐竜学部の教授陣が並んでいた。
息子に夢を与えてくれるヒーローにしか見えなくて、パンフレットに向かって、一礼してしまった。
忘れられない夏、2025。
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